iPad に思う
iTablet でもなく iSlate でもなく、iPad が発表された。「でかiPhone」もしくは「iPod touch XL」的なものだった。でも、これは、アラン・ケイがその昔提唱した夢の ダイナブック (Wikipedia) をようやく現実のものにしたのかもしれない。
ダイナミックメディア(メタメディア)機能を備えた「本」のようなデバイスという意味で、ケイが1972年に著わした「A Personal Computer for Children of All Ages」に登場する(なお、このときの表記は商品化を想定した「DynaBook」。後に一般名詞を意識してDynabookと改められる)。
ケイの構想したダイナブックとは、GUIを搭載したA4サイズ程度の片手で持てるような小型のコンピュータで、子供に与えても問題ない低価格なものである。同時に、文字のほか映像、音声も扱うことができ、それを用いる人間の思考能力を高める存在であるとした。
実に38年かかったのか。
現実に製品として現れてみると、どろどろとした現実に向き合わなくてはいけなくて、著作権の問題やら、電源の問題やら、互換性の問題やら。でも、現代の技術を組み合わせてついに第1号が完成した。既存の市場がまだほとんど広がっていないので、本当に受け入れられるかはわからないけど、ダイナブックのリファレンスモデルとしては答えを出したのだと思う。
坂村健 氏がその昔 TRON 規格を提唱して、やはりダイナブック的なモノを作ろうとしたが、結局共通規格の提案までで、事実上普及しなかった。携帯電話のエンジンとしては使われたようだが、フリーのファームウェアとして一時的に使われただけで、当初の理想とは違う方向へ行ったように見える。まだ高精度な平面ディスプレイも、高密度なバッテリも、高速なネットワークも、低消費電力で高性能なプロセッサも存在しなかったので、早すぎたのかもしれない。
ビル・ゲイツも Microsoft で何度かタブレット型コンピュータを提案したが、結局 Windows を焼き直したもので、OS をイメージしないと使えないものだった。
NeXT で完全なマルチタスクOSとGUIを手に入れ、Mac OS X で成熟させ、iPod でデジタル配信システムを作り、iPhone で通信手段とタッチパネル技術を手に入れ、材料はほとんど揃った。最後に Mac OS X タブレットにせず、iPhone 系の OS にしたのは、まさにダイナブックを実現するためには OS を意識させないデバイスにさせるためだったように思える。
‥‥はい、「俺、キレイごと言いました。」そんなことを思い浮かべた夜でした。
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