WSL2 + Rocky Linux 9 でローカルLinux環境を作る

はじめに

この記事は WSL2 + CentOS Stream 9 で快適なローカルLinux環境を作る - systemd 対応版 の更新である。今回は RHEL9 と互換性の高い Rocky Linux 9で実施する。

構築目標

Windows 11 PC 内での Rocky Linux 9 Linux 環境
快適なターミナル環境

前提

Windows 11 (Version 24H2) にアップグレード済みのPC (Home Edition でも可)
BIOS で CPU 仮想マシン支援機能 (Intel VT / AMD-V) を有効化
Windows Terminal 環境
- Windows Terminal には 白源 (HackGen) ( ダウンロード ) フォントがおすすめ。美しい等幅フォントは心の平安をもたらす。
(推奨) Visual Studio Code WSL関連のあらゆるファイル編集に

導入手順

WSL2 の有効化

PowerShell 5 (管理者) から以下を実行する。PowerShell 7 では失敗するので注意。

Hyper-V パッケージの導入準備 (Windows 11 Home Edition のみ)

Windows 11 Home では Hyper-V 関連のパッケージが隠されているため、これを可視化する。

PowerShell 5 (管理者) から以下を実行。

Get-ChildItem $Env:SystemRoot\servicing\Packages\*Hyper-V*.mum |
Foreach-Object {
    dism.exe /online /norestart /add-package:"$($_.VersionInfo.FileName)"
}

WSL 用の機能をインストールする

Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Microsoft-Windows-Subsystem-Linux
Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName VirtualMachinePlatform

Windows 再起動

WSL2 カーネルの更新

WSL2 Linux カーネル更新プログラム からダウンロードしてインストール

wsl_update_x64.msi

WSL 関連ファイルのバージョンの確認。(2025/1/25時点)

wsl --version

WSL バージョン: 2.3.26.0
カーネル バージョン: 5.15.167.4-1
WSLg バージョン: 1.0.65
MSRDC バージョン: 1.2.5620
Direct3D バージョン: 1.611.1-81528511
DXCore バージョン: 10.0.26100.1-240331-1435.ge-release
Windows バージョン: 10.0.26100.2894

WSL用 Rocky linux 9 イメージをダウンロード

Import Rocky Linux to WSL から該当するパッケージを探し、Windows にダウンロードしておく

例: 9: Base_x86_64 https://dl.rockylinux.org/pub/rocky/9/images/x86_64/Rocky-9-Container-Base.latest.x86_64.tar.xz

CentOS Stream 9 とは違い、公式サイトが WSL 用パッケージを公開しているので安心。

Rocky Lunux 9 を WSL2 ディストリビューションに登録

個人ユーザーのフォルダにインストールするには、下記を PowerShell から実行。

#配置先フォルダ作成
mkdir ${env:LOCALAPPDATA}\Packages\rocky9
#WSL2にインポート (tar.xz は展開不要)
wsl --import "RockyLinux9" ${env:LOCALAPPDATA}\Packages\rocky9 Rocky-9-Container-Base.latest.x86_64.tar.xz --version 2

WSL2 としてディストリビューションに登録されているか確認

PS C:\> wsl -l -v
  NAME           STATE           VERSION
* RockyLinux9    Stopped         2

起動

登録したディストリビューションを起動する

wsl -d RockyLinux9

数秒後に bash プロンプトが出る

[root@WindowsPCName c]#

Ctrl-D で bash プロンプトを抜けて wsl のステータスを見ると、ディストリビューションプロセスは生きたまま。

[root@WindowsPCName c]# logout
PS C:\> wsl -l -v
  NAME           STATE           VERSION
* RockyLinux9    Running         2

WSLプロセスをすべて停止するには:

wsl --shutdown

確認してみる。

PS C:\> wsl -l -v
  NAME           STATE           VERSION
* RockyLinux9    Stopped         2

WSL 自体の更新

一ヶ月に一度、Windows Update のタイミングで下記を実施する。

wsl --update

WSL のメモリ使用制限

WSLはデフォルトでPC本体の最大メモリの半分までを割り当ててしまう。32GB搭載マシンなら16GBをWSLに割り当てる。

これを制限するには下記の設定を Windows PowerShell 側で行っておく。WSLを再起動後に有効になる。

@'
[wsl2]
memory=4GB
swap=0
'@ > ${Env:USERPROFILE}/.wslconfig

Windows Terminal からの利用

Windows Terminal は WSL にネイティブ対応しているので、上記のディストリビューション登録後、Windows Terminal 再起動後には RockyLinux9 というメニューが自動的に現れる。Windows Terminal の設定ファイルにも自動的に追加されているのがわかる。

Windows Terminal のメニューから起動してみると、数秒後に bash プロンプトが出る。

[root@WindowsPCName c]#

systemd の有効化

systemd は現代の Linux ディストリビューションでは一般的なプロセス管理システムだが、WSL では最近まで対応していなかった。2022年9月より WSL が systemd に対応したが、デフォルトでは有効化されていない。各種サービスを起動するためには必須なので、これを有効化する。

上記の手順で WSL Rocky Linux 9 を起動

wsl -d RockyLinux9

Linux の bash プロンプトで下記を貼り付ける。

cat <<'__EOT__' > /etc/wsl.conf
# See: https://learn.microsoft.com/en-us/windows/wsl/wsl-config
[boot]
systemd=true
__EOT__

Ctrl-D で bash プロンプトを抜けて WSL を一旦停止する。

wsl --shutdown

再度 wsl を起動してみて、systemd のプロセスがいれば OK

# ps auxw | grep systemd
root          35  0.2  0.0  27544 11524 ?        Ss   16:17   0:00 /usr/lib/systemd/systemd-journald
root          58  0.4  0.0  32436  9596 ?        Ss   16:17   0:00 /usr/lib/systemd/systemd-udevd
root          69  0.1  0.0  19800  9268 ?        Ss   16:17   0:00 /usr/lib/systemd/systemd-logind
root         103  0.1  0.0  19200  6648 ?        Ss   16:17   0:00 /usr/lib/systemd/systemd-hostnamed
root         105  0.1  0.0  21872 11592 ?        Ss   16:17   0:00 /usr/lib/systemd/systemd --user
root         152  0.0  0.0   3876  1940 pts/0    S+   16:17   0:00 grep --color=auto systemd

Rocky Linux 9 の追加設定

man ページ対応

WSL 用の Rocky Linux パッケージは、デフォルトで man ページファイルのインストールをブロックする設定が入っている。man コマンドでマニュアル表示を行いたいときは、下記の手順を先に実行しておく。

制御ファイルを vi で編集: /etc/yum.conf tsflags=nodocs の行をコメントアウトして保存

[main]
#(中略)
# tsflags=nodocs

man 基本パッケージインストール

dnf install -y man man-pages

インストール済みパッケージの再インストール (man ファイル追加登録)

dnf reinstall -y bash util-linux python3 gzip

各種パッケージ追加

この時点ではミニマムの環境しか入っていないため、必要なパッケージを追加する。

#アップデート
dnf update -y
#不足パッケージを導入
dnf install -y procps-ng coreutils-common dnf-plugins-core bash-completion net-tools zip unzip bzip2 xz zstd openssh-clients telnet perl
#エディタはお好みで
dnf install -y vim-enhanced
#EPEL レポジトリの追加
dnf config-manager --set-enabled crb
dnf install -y \
 https://dl.fedoraproject.org/pub/epel/epel-release-latest-9.noarch.rpm \
 https://dl.fedoraproject.org/pub/epel/epel-next-release-latest-9.noarch.rpm
# EPEL 由来ツール追加
dnf install -y htop whois bind-utils wireshark-cli tcpdump traceroute nc dhcping fping

WSL / Rocky Linux 9 での注意点まとめ

who / w コマンドでユーザが誰もログインしていないように見える。
シャットダウンという概念がない(?) ため、完全に終了するには wsl –shutdown 等のコマンドが必要。
Windows フォルダは /mnt/c 等にマウントされている。

参考

Rocky Linux (Official)
「二度と開発停止の混乱は起こさない」その後のRocky Linux
クラウドwatch, 2022年9月12日

はじめに#

構築目標#

前提#

導入手順#

WSL2 の有効化#

Hyper-V パッケージの導入準備 (Windows 11 Home Edition のみ)#

WSL 用の機能をインストールする#

WSL2 カーネルの更新#

WSL用 Rocky linux 9 イメージをダウンロード#

Rocky Lunux 9 を WSL2 ディストリビューションに登録#

起動#

WSL 自体の更新#

WSL のメモリ使用制限#

Windows Terminal からの利用#

systemd の有効化#

Rocky Linux 9 の追加設定#

man ページ対応#

各種パッケージ追加#

WSL / Rocky Linux 9 での注意点まとめ#

参考#